中小企業向け会計ソフト比較|月次遅れを減らす選び方とfreeeの代替案
こちらは経理担当が1名〜2名ほどの中小企業向けに会計ソフトを比較した記事です。
どの製品が自社に合うのか迷っている方に向けてfreeeを中心に代替となるツールも紹介します。
1. 業務でよくある悩み
月末になるとレシートの束が机に残っている。ネットバンキングの入出金と請求書の突合(消し込み)が翌週まで持ち越される。そんな状況は珍しくありません。
たとえば営業がスマホで撮った領収書がSlackに送られてきたものの、そのままになっているケースです。経理がExcelで仮の仕訳を作り、翌日に会計ソフトへ入力する。その翌週には「この500円はどの勘定科目にしますか?」と再確認することもあります。同じ内容を何度も確認していると、それだけでかなりの時間を使ってしまいます。
もう1つ悩みになりやすいのがインボイス制度や電子帳簿保存法に合わせた証憑管理です。
メールで届いたPDF請求書を共有フォルダへ保存しても、ファイル名のルールが人によって違うと後から探すのが大変です。月次レビューのたびに原本を探すことになれば、確認作業だけで時間を取られてしまいます。
2. ツールを使うと何が楽になるか
クラウド会計ソフトを使うと、入力から照合や承認までの作業をまとめやすくなります。特に便利なのが次の3つです。
- 明細の自動取得:銀行やカードとAPI連携(自動でデータをつなぐ仕組み)すると、利用明細を自動で取り込めます。Excelへ明細を貼り付ける作業も減らせます。
- 自動仕訳ルール:自動仕訳(取引を勘定科目へ自動分類する機能)を使えば、同じような取引を毎回手入力する必要がなくなります。たとえば「Amazon Business 1,980円」を消耗品費として登録しておけば、次回から仕訳候補として表示できます。
- 証憑の一元保管:領収書OCR(画像から文字を読み取る機能)を使えば、領収書の内容を読み取って入力を補助できます。請求書や領収書と仕訳を紐付けて管理できるため、後から証憑を探す手間も減らせます。
たとえばfreee会計ではスマホでレシートを撮影して提出できます。必要に応じて承認フロー(上長などが内容を確認する流れ)に回すこともできます。承認した証憑と会計データをまとめて管理できるため、紙の領収書を探す時間も減らせます。
入金消し込みについても入金明細と請求書を照合しやすくなるため、Excelで別の消し込み表を作って管理する手間を減らせます。
レポート作成も会計ソフトを使うメリットの1つです。
試算表や損益の状況などを画面上で確認できるため、毎月CSVを出してからExcelで集計する作業を減らせます。必要な数字を確認するまでの時間が短くなるので、月次の締め作業も進めやすくなります。

3. ツール選定のポイント
- 初期設定のしやすさ:勘定科目や補助科目の設定に加えて、期首残高や消費税区分の移行も必要です。ここでつまずくと後の修正が大変なので、設定を案内してくれる機能や移行支援の有無を確認しておきましょう。
- サポートの厚み:電話・チャット・メールなどの問い合わせ方法を確認します。導入支援やデータ移行のサポートがあるかも重要です。初めてクラウド会計を導入するなら、困ったときに相談できる環境があると安心です。
- コスト構造:月額・年額だけでなくユーザー数による料金の違いやオプション費用も確認します。固定資産管理やワークフローなどを追加すると料金が変わる場合もあります。1年間の総額で比較すると分かりやすいです。
- 対応OS・デバイス:WindowsやMacだけでなくスマホでも使えるか確認しましょう。営業担当者が外出先から領収書を提出できるかどうかは日々の使いやすさに直結します。
- 拡張性と連携:給与計算や販売管理などのサービスと連携できるかも確認しておきたいポイントです。SlackやTeamsなど普段使っているツールと連携できれば入力作業をさらに減らせます。
- 税理士との相性:顧問税理士が普段から使っている会計ソフトなら相談や確認もスムーズです。税理士用の閲覧アカウントを用意できるかも確認しておきましょう。
- 法対応の安心感:インボイス制度や電子帳簿保存法への対応状況を確認します。マイナンバーなどの個人情報を扱う場合はセキュリティ対策も重要です。監査ログ(誰がいつ何をしたかの履歴)を確認できる製品なら、操作履歴を追いやすくなります。
Excelにたとえるなら「台帳」「原票」「集計表」を1つの仕組みにまとめたようなイメージです。これまで人が関数やマクロでつないでいた作業を会計ソフト側で処理してくれます。ただし最初の設定が合っていないと後から修正することになるので、導入時の確認はしっかり行いましょう。
ここまでの整理
会計ソフトは料金だけで決めると「導入したけれど使いにくい」という結果になりかねません。現場の入力作業が減るか。承認にかかる時間が短くなるか。月次処理が楽になるか。普段の業務を思い浮かべながら選ぶことが大切です。
freeeは銀行やカードの連携から経費精算までまとめやすく、スマホからの入力にも対応しています。一方で弥生のデスクトップ製品のようにオフラインで使いやすい製品もあります。管理したい内容や社内の環境によって向いている製品は変わります。
4. おすすめツール紹介(用途別)
freee会計:現場入力をできるだけ減らしたい会社に
銀行やカードとの連携と自動仕訳が大きな特徴です。経費精算や請求書など周辺の業務もまとめて管理できます。スマホから領収書を撮影して提出できるため、営業担当者が外出先から処理する運用にも向いています。顧問税理士とデータを共有しやすい点も便利です。勘定科目を細かく分けて管理している会社では、導入時にルールを整理しておくと運用しやすくなります。料金はプランや利用人数によって変わるため、最新の料金は公式サイトで確認してください。
freee公式サイトを見る
マネーフォワード クラウド会計:連携やレポートを重視したい会社に
銀行やクレジットカードなどの金融サービスとの連携に対応しており、明細の取り込みや仕訳作成を効率化できます。請求書や経費精算などのサービスもそろっているため、会計だけでなくバックオフィス全体をまとめたい会社にも向いています。料金はプランや利用人数によって異なるので、導入前に公式サイトで確認しておきましょう。
公式サイトで料金を見る
弥生会計 オンライン:弥生を使い慣れている会社に
弥生シリーズを使ったことがある人なら比較的なじみやすい会計ソフトです。仕訳入力から決算書の作成まで基本的な会計業務に対応しています。ブラウザから利用できるためソフトをインストールする手間もありません。料金はプランによって異なり年額契約のプランも用意されています。
公式サイトはこちら
弥生会計(デスクトップ):オフライン環境でも使いたい会社に
Windowsパソコンにインストールして使うタイプの会計ソフトです。インターネット接続が不安定な環境でも作業しやすいのがメリットです。決算や申告に必要な機能もそろっています。一方でスマホからの入力やクラウド上での情報共有を重視する場合は、クラウド型の製品と比較して検討した方がよいでしょう。
公式サイトはこちら
勘定奉行クラウド:権限や承認をしっかり管理したい会社に
権限設定や承認フローなどを細かく設定できるのが特徴です。部門が多い会社や社内での承認ルールを重視する企業に向いています。機能が多い分だけ設定項目も増えるため、導入時には自社の運用に合わせて設定する必要があります。料金は利用する機能や規模によって変わるため、詳細は公式サイトで確認してください。
公式サイトはこちら
PCA会計DXクラウド:管理会計を細かく管理したい会社に
部門別の管理や配賦などを細かく行いたい会社に向いています。外部システムとの連携にも対応しているため、会計以外のシステムと組み合わせて使いたい場合にも候補になります。機能が実務寄りなので慣れるまで少し時間がかかる可能性があります。料金は利用するプランや構成によって異なります。
公式サイトはこちら
ソリマチ 会計王:小規模事業の会計をシンプルに始めたい会社に
小規模の法人や個人事業主が基本的な会計処理を行う場合に向いています。必要な機能をシンプルに使いたい人には扱いやすい製品です。クラウド型の会計ソフトとは使い方が異なるため、スマホからの入力やオンラインでの情報共有を重視する場合は他の製品と比較して選びましょう。
公式サイトはこちら
5. ツール比較表(主要ポイント一括)
| ツール名 | 出来ること | 導入難易度 | 料金目安 | プラン例 | サポート | 対応OS・デバイス | 無料トライアル |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| freee会計 | 自動仕訳・証憑OCR・請求/経費・承認フロー | 初級〜中級 | プラン・人数により変動 | 複数の法人向けプランあり | チャット・メール・ヘルプ。導入支援あり | Web。iOS/Androidアプリ | あり(期間は要確認) |
| マネーフォワード クラウド会計 | 金融連携・自動仕訳・レポート・シリーズ連携 | 初級〜中級 | プラン・人数により変動 | スモール/ビジネス等 | チャット・メール。導入相談あり | Web、iOS/Android | あり(要確認) |
| 弥生会計 オンライン | 仕訳入力・決算書作成・振替伝票・レポート | 初級 | プランにより変動 | セルフ/ベーシック等 | 電話・メール。サポートあり | Web。スマホ取込対応 | あり(要確認) |
| 弥生会計(デスクトップ) | 本格仕訳・決算・申告連携。軽快動作 | 中級 | 製品・保守契約により変動 | スタンダード/プロフェッショナル | 電話・リモート等(プランにより) | Windows | 体験版あり |
| 勘定奉行クラウド | 権限・承認・内部統制・周辺モジュール連携 | 中級〜上級 | 要見積(規模で変動) | モジュール選択型 | パートナー/導入支援あり | Web | デモ/体験あり |
| PCA会計DXクラウド | 配賦・管理会計・外部連携・ログ管理 | 中級〜上級 | 要見積(構成で変動) | クラウド版など | パートナー導入・電話 | Web中心 | デモあり |
| ソリマチ 会計王 | 基本仕訳・決算・簡易レポート | 初級 | 製品・保守契約により変動 | 通常版/プロ版 | 電話・メール | Windows | 体験版あり |
注記:料金やプランは変更される場合があります。最新の価格・プラン・試用期間については各社の公式サイトでご確認ください。
一度まとめます
- 入力をできるだけ減らしたい:freee会計やマネーフォワード。銀行・カード連携やスマホ入力を活用できます。
- オフラインで使いたい:弥生のデスクトップ製品。インターネット環境に左右されにくい点がメリットです。
- 権限や承認を細かく管理したい:勘定奉行クラウドやPCA。組織に合わせた管理をしやすい製品です。
- シンプルに会計を始めたい:会計王や弥生オンライン。必要な機能から使い始めたい会社に向いています。
候補を2つほどに絞ったら実際の業務で試してみるのがおすすめです。たとえばfreeeなら社内の請求書や領収書を使って、入力から承認や消し込みまで問題なく進められるか確認してみましょう。freeeの無料トライアルなどを利用して実際の操作感を確かめると判断しやすくなります。
6. まとめと次の一歩
結論として、月次処理の負担を減らしたいなら「経理担当者や現場の入力作業をどこまで減らせるか」を軸に比較するのがおすすめです。特に銀行やカードとの連携ができるクラウド型は、これまで手作業で行っていた入力を減らしやすい選択肢です。
- 理由1:明細の自動取得や自動仕訳を使えば、Excelへの転記作業を減らせる。
- 理由2:証憑と仕訳をまとめて管理すれば、後から原本を探す手間を減らせる。
- 理由3:会計データを画面上で確認できるため、月次の集計作業を効率化しやすい。
- 条件1:初期設定とデータ移行を丁寧に行う。期首残高や税区分は特に確認する。
- 条件2:顧問税理士とも運用ルールを確認する。誰が入力して誰が承認するのかを決めておく。
- 条件3:本格導入の前に実際の業務で試す。普段使っているデータで問題がないか確認する。
進め方としてはfreee会計を含む2製品ほどに候補を絞り、トライアルで比較する方法が分かりやすいです。消し込みや承認だけでなく、普段の入力やレポート作成まで実際に試してみましょう。使う人が無理なく続けられるかを確認してから決めると、導入後の失敗も減らせます。freee公式サイトとマネーフォワードで現在の機能や料金を確認してみるのもおすすめです。
7. FAQ
freee会計とマネーフォワード、どちらが中小企業に合いますか?
どちらが合うかは会社の使い方によって変わります。現場からの入力をできるだけ簡単にしたいならfreeeが候補になります。会計だけでなく給与や請求などバックオフィス全体の連携を重視するならマネーフォワードも有力です。最終的には自社のデータを使って入力や承認がスムーズに進むか確認するのが確実です。
会計ソフトの乗り換えで失敗しやすい点は?
期首残高や消費税区分の移行ミスは特に注意が必要です。勘定科目のルールが以前のソフトと変わる場合もあるので、事前に整理しておきましょう。移行後は一定期間だけ旧ソフトのデータと照らし合わせると安心です。
インボイス制度と電子帳簿保存法への対応は大丈夫?
主要な会計ソフトはインボイス制度や電子帳簿保存法への対応を進めています。ただしソフトを導入するだけですべての要件を満たせるとは限りません。証憑の保存方法や検索方法なども含めて自社の運用を確認しましょう。
税理士がfreeeを使ってくれない場合は?
まずは税理士にどこまで対応できるか確認してみましょう。閲覧用アカウントを用意したり必要なデータをエクスポートしたりする方法もあります。それでも運用が難しい場合は、税理士が普段から使っているマネーフォワードや弥生などを候補に入れるのも1つの方法です。
銀行明細の自動取得がうまくいかない時の改善策は?
まずは銀行側の認証状態や会計ソフトとの連携設定を確認します。二段階認証などの設定変更によって再認証が必要になる場合もあります。連携が不安定な場合に備えて、月末だけは手動で明細を確認するなどのルールを決めておくと安心です。
固定資産管理や部門配賦まで必要です。どの製品が合いますか?
freeeやマネーフォワードでも固定資産管理などに対応していますが、細かな配賦や管理会計まで重視する場合はPCAや勘定奉行なども候補になります。必要な機能を先に洗い出してから各製品の対応状況を確認すると選びやすくなります。
スマホ中心の運用は現実的?
領収書の提出や簡単な承認ならスマホ中心でも十分対応できます。一方で仕訳の確認や月次締めのような細かな作業はPCの方が進めやすいでしょう。スマホは「提出・承認」。PCは「確認・集計」というように役割を分けると運用しやすくなります。