マスターデータとは?SaaS自動化における意味をわかりやすく解説

マスターデータとは(SaaS自動化における意味)

マスターデータは、複数のSaaSや業務システムで共通して利用する基本情報のことです。顧客・商品・従業員などが代表的な例です。

要するに、業務で継続的に使う情報を整理した基準となるデータです。ワークフローから参照することで、同じ顧客や商品を別の名前で扱ってしまうといった食い違いを防ぎやすくなります。また、どのシステムの情報を基準にするかを決めることで、更新の起点も明確になります。

似た言葉と混同しやすいものですが、すべての情報をマスターデータにする必要はありません。複数の業務で繰り返し参照する基本情報かどうかを基準にすると判断しやすくなります。

自動化フローの中での役割

マスターデータは、自動化の判断基準として利用できます。各SaaSから届いたデータと照合し、どの顧客や商品に該当するのかを確認するための参照先になります。要するに、フローの中で繰り返し使う基本情報をまとめておく場所です。

具体的には主に3つの役割があります。第一は照合と統一です。顧客IDや商品コードなどを使って検索し、同じ顧客や商品を正しく結び付けます。第二は標準化です。表記の違いや部門名の違いがある場合に、決められた値へそろえます。第三は情報の連携です。マスター側で情報が更新されたときに、必要に応じて関係するSaaSへ変更を反映します。

また、マスターデータに登録された属性を権限付与やルーティングの条件として利用することもできます。たとえば「部門=営業」「雇用区分=契約社員」といった情報を条件にして、承認経路や利用するサービスを自動で切り替える設計が可能です。ただし、実際にどこまで自動化できるかは利用するSaaSや連携サービスの機能によって異なります。

よくある利用シーン

例1:CRMと請求システムの連携。CRMで取引先が作成・更新されたときに顧客マスターを参照し、既存の顧客かどうかを確認します。既存なら対応する情報を更新し、新規なら顧客IDなどの識別情報を使って請求システムへ名称や住所などを連携します。これにより、同じ顧客を別のデータとして登録してしまう問題を減らせます。

例2:入社手続きの自動化。人事SaaSを従業員情報の基準となるシステムとして扱い、氏名・雇用区分・所属・入社日などをもとにコミュニケーションツールやストレージなどのアカウント作成につなげます。配属変更や退職があった場合も、対応する連携を組んでおけば各SaaSの属性や権限変更を自動化できます。

まずは、ご利用の自動化プラットフォームでサンプルフローを作り、マスターデータとの照合やデータの受け渡しがどこまでできるか確認してみてください。無料トライアルが用意されているサービスなら、本番データを使う前に小さなケースで試す方法もあります。

注意点

導入時は次のポイントを明確にすると運用しやすくなります。要するに「何をマスターとして扱い、どの情報を基準にするか」を先に決めておくことが大切です。

  • 対象範囲の定義:顧客・商品・従業員など、何をマスターとして管理するかを決める。最初からすべてを対象にする必要はありません。
  • 識別子の決め方:顧客IDや商品コードなど、同じ対象かどうかを判断するための項目を決め、変更時の扱いも整理する。
  • 優先順位の設計:複数のSaaSに異なる情報がある場合に、どの情報を基準にするかを決めておく。
  • 更新方法:リアルタイムで反映するのか、一定間隔で同期するのかを業務への影響に合わせて決める。
  • 権限と履歴:個人情報などを扱う場合は閲覧範囲を適切に設定し、更新ログなど必要な記録を残して変更を追跡できるようにする。
  • 不要なケースの見極め:単一SaaSで完結する業務では、無理に別のマスターを用意せずシンプルな構成にする。

関連用語

  • システム・オブ・レコード:特定の情報について正式な記録を保持するシステムやデータ源のこと。
  • 取引データ:受注や問い合わせなど、業務上の出来事に応じて発生するデータで、マスターデータを参照して処理することがあります。
  • ルックアップ:フロー内でマスターデータなどを検索し、対応する値を取得する処理。
  • IDマッピング:SaaSごとに異なるIDやコードを対応付け、同じ対象として扱えるようにするための仕組み。
  • データスキーマ:データの項目や型などを定義する設計で、マスターと各SaaSのデータ構造を整理するときに役立ちます。

よくある質問

マスターデータと取引データの違いは何ですか?

マスターデータは顧客・商品・従業員など、複数の業務で継続的に利用する基本情報です。取引データは受注や問い合わせのように、業務上の出来事に応じて発生する記録です。自動化では、取引データを処理するときにマスターデータを参照して顧客IDや商品コードなどを取得することがあります。

どのSaaSをマスターにすべきか、どう決めればよいですか?

その情報を誰が管理し、どのシステムを基準にすれば正確性を保ちやすいかを考えて決めます。例えば顧客情報ならCRM、従業員情報なら人事SaaS、商品情報なら商品管理システムなどが候補になります。複数のシステムで更新できる場合は、どのシステムを基準にするかと、情報が食い違ったときの扱いまで決めておくと運用しやすくなります。

マスターデータの整備にどれくらいの工数がかかりますか?

対象となるデータの量や状態によって大きく変わります。最初は「項目の整理」「識別子の取り決め」「重複データの整理」など重要な部分から着手すると進めやすくなります。すべてを一度に整備するのではなく、連携への影響が大きいデータから段階的に対象を広げる方法もあります。